栄養学、それは人間の身体をつくり、
エネルギーの元となる「栄養」について研究する学問である。
スポーツ栄養学はアマチュアアスリートからプロアスリートにとっても賢く付き合えば強力な武器になり得る領域だ。
身体や精神に重い副作用が起こりえるドーピングとは違い、栄養学はしっかりと知識を学べばそれだけで身体能力向上の一助となる。
本記事では、ロードバイク乗りに適したサプリメントの活用方法について、栄養学の観点から紐解いていく。
様々な栄養素をトレーニングに併せて正しく摂取することで、パフォーマンスや回復力、健康の向上に良い効果がいかにもたらされるか一緒に学んでいきたい。
まず大前提、休息は超重要
パフォーマンス向上のためのトレーニングにおいて、大切なポイントは「栄養」「休息」にある。
大前提として、休息は非常に重要だ。
いくら栄養を摂取したところで休息がなければパフォーマンスは上がらない。
疲労したままのロングライドやトレーニングは効率が下がるどころか、最悪の場合怪我を誘発する。
よって、トレーニング後は十分に休息を取ることがとても大切である。
効果的な休息はトレーニング効果を高めるばかりか、疲労の回復を早め、快適な毎日を実現してくれるだろう。
休息系の栄養素が詰まったアイテムはコチラだ。
我々ローディにとってはド定番である、
「グリコ パワープロダクション エキストラアミノアシッド」である
#別名:金グリ
休息時に摂りたいアミノ酸(アルギニン、オルニチン、リジン)・ビタミンB6・亜鉛・マグネシウム・セレンやハーブ(カンカ)・グリコーゲンが配合されている。
ダラダラと過ごす消極的な休息でなく、積極的な休息を効率的に取ることができる。
サイクリストなら必携のアイテムである。
事実、金グリを摂取して寝ると翌日の朝が変わる。疲労の残り具合の違いを実感していただけるだろう。
トレーニングの後はしっかり休む。
この大前提は押さえておきたい。
#金グリ飲んでよく寝る!
BCAA 分岐鎖アミノ酸
BCAAとはBranch-Chain-Amino-Asid 分岐鎖アミノ酸の略称。
要は必須アミノ酸のバリン、ロイシン、イソロイシンのことを指す。
分岐する構造を持つことから、分岐鎖アミノ酸と呼ばれる。
必須アミノ酸は体内で生成できないため、必ず外から摂取する必要がある。
BCAAを運動前や運動中に摂取するにより、運動による体の疲労感を和らげる効果が報告されている。
近年では、BCAAが筋タンパク質中に非常に多く含まれていることから、筋肉にとって非常に重要なアミノ酸であると注目を集めている。
運動時はBCAAの要求量が高まるため、
運動30分前~運動中にBCAAを2,000mg以上摂取することがBCAAを効率よく作用させる為に重要であるとの研究結果がある。
食物中に含まれるBCAAの量は以下の表の通りだ。
表を見ていただくとわかる通り、マグロ赤身のBCAA密度は凄まじい。
ロングライドでマグロ赤身を携帯できれば理想だが、そうもいかないだろう。
#ライド中に背中からマグロ取り出して食べる人
#ちょっとヤダ
よってサプリメントに頼るのがベストだ。
運動中や運動後に摂取しよう。
こちらは水に溶かしてボトルに入れて飲めばいい。
また、アミノバイタルは小分けになっているため出先でも飲みやすい。
ライドに数個携帯しておき、休憩ごとに飲むのがいいだろう。
筆者はアミノバイタルをライド中・ライド後に必ず飲むようにしている。
#疲労の残り具合が全く違う。
クレアチン
最も広く利用されているスポーツ栄養サプリメントに含まれるアミノ酸と言える。
・化学式: C4H9N3O2
・モル質量: 131.13 g/mol
クレアチンは筋肉量の増加を促進する効果が認められている。長距離耐久スポーツに重要な栄養素である。
また、乳酸の蓄積を抑える働きもするため、瞬間的に爆発的なエネルギーが必要なスプリントでも有効である。
50メートル自由形の日本記録を持つ塩浦慎理選手は、高校生の時からクレアチンを継続して摂取しており、
競泳男子400メートルリレーの東京五輪代表にも選ばれている。
瞬発的パワーを発揮するためには、クレアチンを筋肉に溜めておくこと(ローディング)が重要である。
クレアチンを摂取しておけば筋肉へかける最大負荷を上げられるため、トレーニングにおいてより効率的に成果をあげることができる。
クレアチンを多く含む食べ物は魚や肉。
しかし、クレアチンは熱に弱く、加熱により含有量は減少する。
よって、クレアチンをより多く摂取する方法はお刺身やユッケなど、生の肉を食べることである。
#マグロ最強伝説
クレアチンの消費量は1日に2g程度。
因みにマグロ100gあたりのクレアチン含有量は0.4gだ。
#寿司食いたくなってきた。
クレアチンは日常的に摂取することで効果を発揮する。
食事のみで継続的にクレアチンを摂取するのが難しい場合は、サプリメントで補強することをオススメする。
#毎日お刺身を食べている人はサプリ不要
#漁師さん達がみんなマッチョなのは
#そういうことなのだろうか
グルタミン
グルタミンには、筋肉の分解抑制、消化管機能のサポート、免疫力向上、傷の修復などに効果があると言われている。
グルタミンは非必須アミノ酸に分類される。
つまり体内で生成することができる。
人の身体にある11種類の非必須アミノ酸のうち、実に50%ほどがグルタミンと言われている。
「体内で作れるんなら摂取しなくていいだろ!」
「いい加減にしろ!!」
と思いきや、どっこい、
トレーニングで身体に大きな負荷が掛かっている時や、ストレスが過度に掛かっている時には不足しがちとなってしまう。
これは、筋肉を修復しようと体内に蓄積していたグルタミンがエネルギー源として使われ、多くのグルタミンが消費されるためだ。
この時、グルタミンが十分に存在しないと、
本来は筋肉を作るためのグルタミンがエネルギーの代用として使われ、
筋肉が維持できなくなる。
#恐怖
こちらも日常的に摂取、特に運動後に摂取することで効果を発揮する。
グルタミンは肉、魚、卵、大豆などに含まれるが、例によって熱により変性してしまう。
#アミノ酸はみんな熱に弱い
よって、生肉や刺身、卵かけごはんなど、
#寿司最強伝説
もしくはサプリメントによる摂取を推奨する。
グルタミンは先述したアミノバイタルにも豊富に含まれている。
カフェイン
毎日飲んでいるコーヒーにも含まれている非常に身近な化学物質である。
導入のハードルはかなり低いと言える。
・化学式: C8H10N4O2
・モル質量: 194.19 g/mol
・作用持続時間: 3–4 時間
・作用発現: ~1 時間
カフェインにはスポーツパフォーマンスを向上する多くの利点があることで知られている。
精神集中力や注意力が向上するだけでなく、身体の耐久力を高めたり、運動強度を自覚しにくくする働きがある。
特に、30分から2時間持続する運動でその作用が期待できる。
また、運動時のリカバリーでグリコーゲンの再合成にも効果を発揮するので、回復速度が上がる。
#運動後のコーヒーが美味しいのはそのせい
以上より、カフェインはパワー・持久力を上昇させ、タイムトライアルなどで爆発的なパフォーマンスが実現する効果が認められている。
#合法ドーピングと言っても過言ではない
#かつては世界アンチドーピング機構の
#禁止薬物リストに載っていた
スポーツのパフォーマンスにおいて、
体重 1kg に対し、2~3mg のカフェイン摂取が理想的な量だと様々な研究により明らかになっている。
#因みにコーヒー1杯のカフェイン量は約100mg
おススメの服用方法は
パフォーマンスを最大限発揮したい場面の1時間前に、RedBull(カフェイン含有量:30mg)をポカリ(吸収を良くする)で割って、エスタロンモカ錠(カフェイン含有量:100mg)を摂取することだ。
錠剤を推奨する理由は、本番前にお腹がタポンタポンになり過ぎるのを避けるためだ。
筆者もレースやマラソン大会の本番前には必ず摂取するようにしている。
明らかに持久力の向上をお手軽に体感できるので、ぜひ試してみていただきたい。
#多くのマラソンランナーは本番前にカフェインを摂取する。
※飲みすぎは注意
体の大きさによりカフェインの理想的な摂取量は変わる。
一度に大量のカフェインを接種すると心拍数が上がってビックリするので、最初は少量から試していただきたい。
まとめ
いかがだっただろうか。
今回は栄養学の観点からBCAA、クレアチン、グルタミン、カフェインについてご紹介してきた。
#ようはマグロ食っときゃイイ。
#ライド後は毎回スシローへ直行するのがイイ気がしてきた。
様々な栄養素をトレーニングに併せて正しく摂取することで、パフォーマンスと健康の向上に良い効果が期待できる。
日頃のトレーニングに栄養学を取り入れることにより、皆様のパフォーマンスの向上の一助になれば幸いである。