タイヤに空気を入れてる場合なのか?
ある日の定時後、車好きのひとと雑談しておりました。
車好きのひと「そういえば、ロードバイクはタイヤに何入れてるの?」
私「え?いや、空気ですけど・・・?」
自動車はタイヤに窒素を充填することもあるとのこと。
ここでハッといたしました。
なんということでしょう。
最も慣性モーメントに影響のある回転体の外周部であるにもかかわらず、
私は何も違和感を感じず今日もエアーポンプを漕いでおりました。
一体、どれだけの空気がこのチューブにははいっているのでしょうか。
何g入っているのでしょう。
何モル入っているのでしょう。
恥ずかしいことに考えたこともございませんでした。
リムを何g軽量化したぐへへしてたくせに。チューブ内の気体の重さは考えたこともございませんでした。
本当に、なんということでしょうか。。。
ばけがくのじかん
軽い気体の代表格は水素です。
原子番号1:H2。こちらは全ての気体の中で最も軽い。
まず、空気の代わりとしての第一候補はH2でしょう。
ですが水素は危険です。爆発します。
#ロケットが宇宙に飛んでいくレベル。
大切なカーボンフレームが水素爆発に巻き込まれてしまっては目も当てられません。
また、水素ステーションは安全面の課題もあるでしょう。
インフラが整うのはまだまだ先でしょうか。
水素の次に軽い気体はヘリウムです。
原子番号2:He。
超危険な水素に対し、Heは希ガスです。
希ガスは安定した電子配置のため電子のやり取りをすることがほとんどありません。空気中では1個の原子で単原子分子として存在しています。そのため状態が安定です。そして"不活性ガス"と呼ばれるように反応しづらいことが希ガスの特徴です。
とても安全です。
浮くタイプの風船のほとんどは、中にヘリウムガスが入っています。
入手性・取扱性を考えるに水素よりもこちらの方が現実的でしょう。
Thinking Time!
計算いたしてみましょう。
空気は80%窒素、20%が酸素と仮定します。
平均分子量は分子量の平均値です。N2の分子量は28、O2の分子量は32ですから、空気の分子量は以下の式で求める事ができます。
25Cのチューブ径を2 ㎝、中心径をを64.8 ㎝とすると、気体を入れた際のチューブ内の体積は、
(1×1×π)×(64.8×π) ≒ 640
つまり、ほぼ640 cm3となります。
その他、諸数値は以下と仮定します。
・圧力:0.8 (MPa)つまり約8bar。
・温度:25 (℃)
・気体定数:8314 (Pa・L/mol・K)懐かしいですね。
以上の条件で、チューブ内に入った空気とヘリウムの重さを計算します。
ついでにCO2の重さも計算しときましょう。CO2インフレーターとかありますし。。
結果
チューブ内の気体の重さはそれぞれ、
空気:6.0g
He:0.8g
CO2:9.1g
ヘリウム軽っっっ!!!
結論
チューブの中身を空気からHeにすると、
片輪で5.2g、全体で10.4gの軽量化となる。
この結果をどう捉えるかは皆様次第ですが、私は非常に重く受け止めました。
というより、この結果を考えることなく日々過ごしていた事実に対してですね。
ロードバイク軽量化の経験がある方なら、およそ10g削るのがどれだけシビアかお分かりの事でしょう。
Heの取り扱いについて、
Heで膨らませた風船は、空気で膨らませた風船の約5倍の速さで抜けていくとのこと。エア抜けならぬHe抜けには注意が必要ですね。
#Heって分子小さいもんね。
また、CO2となるとかなり重いですね。
CO2の分子量は44ですので。
チューブのゴムとCO2の親和性うんぬんで、CO2も空気より抜けやすいようです。
パンクしてCO2を使った場合、重さの面から見ても家に帰ったら一度チューブ内のCO2を抜いてHeを入れ直したほうが良さそうですね。
で、Heってどこに売ってらっしゃるの???