ロードバイクを手にしたあなたにまず購入いただきたいアイテムは、兎にも角に自転車用の靴である。
人はその靴をビンディングシューズと呼ぶ。
ビンディングシューズを履くことにより、チャリンコが全く別の乗り物となる。
ロードは引き足だ
かの評論家はこう語った。「引き足を制するものはロードを制する。」
ビンディングシューズによってペダルとシューズを固定可能、
踏むだけでなく脚を引き上げる時にも自転車に力を伝えられるようになる。
この感覚は、齢数十年にして初めての感覚となるだろう。
自転車に乗っていて、靴がペダルに固定されてしまっては危険極まりないと感じる方も多いと思う。
私もそう思っていた。意味が分からないと。
だが、一度履いてしまえば二度と普段靴で自転車に乗りたいと思わなくなるに違いない。
自分と自転車が一体化する感覚を味わうことができる。
ビンディングシューズに"クリート"と呼ばれる部品を装着することにより、靴とペダルとバインディングする。
クリートは消耗品であり、交換可能である。
イメージはスノーボードやスキーに近い。
いかにボードと一体化するかが上達へのキモのはずだ。
事実、今となっては足がペダルに固定されていない方が危険を感じる。
普通の靴で自転車に乗ってみると、靴がペダルから滑って落車しそうになるシチュエーションは少なくない。
ビンディングシューズの種類
ビンディングシューズの選択肢は、まずはSHIMANO規格である
"SPD"と"SPD-SL"の2種類と考えてよいだろう。
名前が似過ぎで最初は本当に紛らわしい。序盤から踏ん張りどころである。
※ペダルもSPD用とSPD-SL用で区別する必要がある。クリートも同様だ。
SPDとSPD-SLの特徴について下記する。
SPD | SPD-SL | |
よいてん | ・軽い力で取り外しできる。 ・クリートが露出してないので歩きやすい。 ・ガチっぽくない。 ・比較的お求めやすい。 ・ビンディングシューズだと気づかれにくいモデルもある。 ・シティボーイ感 ・クリートが金属なので、ライターを忘れた際などアスファルトを擦れば火種にもなる。 |
・がっちり固定される |
わるいてん | ・固定力が弱い(どちらかというとオフロード用である) ・ 重い(クリートを露出させないためにどうしても靴底のゴム部分を多くする必要がある) ・ペダルも金属ばっかで重い。 ・ガチ感に乏しい。 ・帰宅部感 ・ビンディングシューズだと気づかれないことがある。 |
・なんかガチっぽくてキモいと思われてそうな気になる。 ・外れて欲しい時に外れない恐怖。 ・SPDより高価(DURA-ACE:2万円)。 ・そもそも歩くために作られていない(コンビニではペンギン歩きで買い物をするハメになる)※ ・クリートが樹脂のためコンビニの床氷の如し。 ・どこまでが自分でどこからが自転車か分からなくなる。 |
※SPD-SLの歩きにくさはクリートカバーと呼ばれるアイテムで解決出来る(出来ない)。
最初はどっちがどっち用のシューズか分からないと思う。
そんな時は靴底のボルト穴の数を見ればわかる。
SPD:2穴、SPD-SL:3穴となっており、これは装着するクリートの形状が違うためだ。
両方を兼用できるシューズなるものも存在するが、双方の利点を消してしまっていると聞く。要注意だ。
実体験
少々過去を語らせていただきたい。
当初、チャリチャリしているのが小っ恥ずかしかった私は、
初めてのビンディングシューズとして、側から見ればビンディングシューズとはほとんど分からないタイプのSPDシューズを選択した。
GIRO RUMBLE VRというやつだ。
非常にセンスの良いデザインと感じた。
何より、一見普通のスニーカーっぽいが実はSPDペダルというさりげなさは、私の幼心を猛烈に満足させた。
しかし、ご存知の通り、
人間程欲深き生命体は他におらぬ。
3ヶ月後、
①ロードバイクへの情熱はこの靴がビンディングシューズだと気付かれない現状に憤りを感じるまでに、
②そしてハムストリングスは全力スプリントするとSPDではペダルからシューズを外してしまうまでに成長した。
その後SPD-SLを購入するハメになる未来は想像に容易い。
典型的ロードバイク初心者の心情の変化、皆様のご参考となれば幸いです。