回転体における出力の式:【P=2πTN】を導く
一見ワケのわからんこの式ですが、
学生時代の知識でかみ砕いてみるととてもスッキリとした式だと分かりました。
本記事では、回転体における出力P[W]、トルクT[N・m]の定義を確認すると共に、
トルクT[N・m]と回転数Nから出力P[kW]の公式(P=2πTN)を導出していきます。
パワートレーニングとは直接関係のないお話ですが、パワーに対する理解の一助となれば幸いです。
出力とは
回転体における出力を考えるうえで、まず出力の概念を押さえる必要があります。
ザックリと言えば、
1W(ワット)とは、コンビニのおにぎり(約100g)を1秒間で1m持ち上げるときの仕事率を言います。
1馬力は約750Wですので、
大人1人分を1秒間で1m持ち上げることができます。
#意外と少ない?!
下記にてさらにかみ砕いておりますので、ご興味のある方は参照ください。
また、国によって1馬力の定義は異なっているようです。
・日本→(1馬力):0.750kW
・英国→英馬力(1 HP):0.74kW
・仏国→仏馬力(1PS):0.7355kW
※更に言うと日本では1馬力の定義があるにもかかわらず施工されている計量法では仏馬力の定義を採用しています。
#謎が深い!
回転体における出力とは
回転体における出力について考えていきます。
前述の通り、ある力で1秒間にどれだけの距離を動かしたのかを示す仕事率が出力と定義されます。
よって、下図のように、
円が1秒間に1周したときの出力は"力F[N] x 円周2πr[m]"にて表すことができ、
式にすると、
P=2πrF
となりますね。
シンプルに、小学校の時に習った円周の長さの式
(円周の長さ)=(半径)×2×3.14…
を、出力の式と合体させると出てきます。
したがって,1秒間に円がN回転した場合の出力は、
P= 2πrFN
となります。
P:出力[W]
π:円周率(3.14…)
r:半径[m]
F:力[N]
N:回転数
トルクとは
次にトルクについて考えましょう。
トルクとは、昔物理で習った”モーメント”と同じ単位で、
回転体が円運動する時の接線方向のモーメントのことを言います。
分かりにくいので図で見てみましょう!
下図でトルクTは、
T=r×Fとして表すことが出来ます。
T:トルク[N・m]
F: 力 [N]
r: 半径 [m]
ここまで出せたらあとは式を合体させるだけです。
トルクと回転数から出力を導こう!
前述の2つの式から、トルクと回転数から出力を算出する式を導出してみましょう。
① P= 2πrFN ・・・ 出力の式
② T=r×F ・・・ トルクの式
数式②を変形するとF= T/rが求められ、これを①に代入することにより、
晴れて、
P= 2πTN
を導出することができました^^
まとめ
この数式をじぃっと見ていると、
理論的には、とても長いクランクでトルクを出してそれを超高速回転させれば、大きなパワーを自転車に伝えることができると分かります💡
#超理論
とはいえ、ご存じのように現実と理想が合致すれば誰も苦労することはありません。
実際には自分の脚の長さに合ったクランク長さと、脚質に合ったケイデンスを追求していくことが、ロードバイクで速く・長く走る上で重要と言えるでしょう。
以上、長くなりましたが、回転体における出力のお話でした。